【FXの基本】各国通貨、為替の特徴を知ろう!重要指標、為替変動の要因
世界では、その国ごとの通貨が使われています。普段私たちが使っている通貨は『日本円』です。よく耳にする円高・円安はどのように起こるのかなど、世界の通貨の特徴を書きたいと思います。
- ~人気通貨の特徴 ~
- 日本円(円):JPY
- アメリカドル(米ドル):USD
- ユーロ:EUR
- イギリスポンド(英ポンド/ポンド):GBP
- スイスフラン(フラン):CHF
- カナダドル(加ドル):CAD
- オーストラリアドル(豪ドル):AUD
- ニュージーランドドル(NZドル):NZD
- トルコリラ:TRY
- 南アフリカランド(南アランド/ランド):ZAR
- ~人気の通貨ペアの特徴~
- 米ドル/円(USD/JPY)
- ユーロ/米ドル(EUR/USD)
- ユーロ/円(EUR/JPY)
- 英ポンド/円(GBP/JPY)
- 豪ドル/円(AUD/JPY)
- NZドル/円(NZD/JPY)
- トルコリラ/円(TRY/JPY)
- 南アランド/円(ZAR/JPY)
~人気通貨の特徴 ~
日本円(円):JPY
【ドル、ユーロに次ぐ国際通貨】
日本の通貨である日本円は、外国為替市場でも米ドル、ユーロに次ぐ取引量を誇り、世界三大通貨のひとつに数えられています。
米ドルやユーロに比べ、国際的な日本円の使用の割合は低いものの、国際的な信用度の高さから、世界的な金融危機などのときは、リスクの回避通貨として買われやすい傾向にあります。
また、日本の経済指標よりアメリカの経済指標や輸出企業の決済に影響を受けやすいのも大きな特徴です。輸出大国である日本では、為替レートの適正バランスを重視します。過度な円安・円高時には、日銀が介入する政策行動があるので注意しましょう。
【重要指標】
【為替変動の要因】
〈主な上昇要因〉
- アメリカや自国の経済指標の好転や要人発言
- 世界的な情勢不安や経済危機による円買い
- 中国元の切り上げなど、近隣諸国の政治的、経済的事情
〈主な下落要因〉
- アメリカや自国の経済指標の悪化や要人発言
- 輸出企業による大量の決済
- リスク選好型(ハイリスク・ハイリターン)の経済のとき
アメリカドル(米ドル):USD
【世界中に影響を与える基準通貨】
世界一の経済力をもつアメリカの通貨米ドルは、世界の基準通貨です。国際貿易は基本的に米ドルで決済されるため、流通量や各国の外貨準備高に占める割合も多く、通貨の中で最も安定した通貨といわれています。サブプライムローン問題以降はドルの信頼性にも陰りが出ていますが、どの通貨ペアを選ぶにしても米ドルの為替レートのチェックは欠かせません。
日本では、FX取引の8割以上を米ドル/円のペアが占め、年間の取引額は530兆円を超えています。
また、世界経済に与える影響も大きく、アメリカの経済指標や財務長官などの要人の発言は、世界中から注目されています。
【重要指標】
【為替変動の要因】
〈主な上昇要因〉
〈主な下落要因〉
ユーロ:EUR
【米ドルと反対に動きやすい欧州の統一通貨】
ユーロは、1999年に誕生したEUの統一通貨です。発足当初は11カ国だった導入国は、2019年現在、19カ国の公式通貨となっています。外国為替市場ではドルに次ぐ取引量をもつことから、第2の基軸通貨といわれています。
ドル安の際には、避難通貨として買われる傾向があり、為替レートの上昇とともに外貨準備高でも割合を伸ばしています。ユーロ圏ではドイツ、フランス、イタリア、スペインの経済規模が大きく、特にドイツの影響力は大きなものとなっています。
ただし、ユーロ圏内のどこか1国が経済危機に陥ればユーロが暴落する可能性を含んでいるため、取引の際はヨーロッパ全体の政治経済にも目を配ることが大切です。
【重要指標】
【為替変動の要因】
〈主な上昇要因〉
〈主な下落要因〉
イギリスポンド(英ポンド/ポンド):GBP
【価格変動が激しいかつての基準通貨】
イギリスのポンドは、三大通貨に次ぐ取引量がある通貨です。ユーロと同じくアメリカ経済の影響を受けにくく、米ドルと反対の動きをする傾向があるといわれています。
第二次世界大戦前まではポンドがポンドが世界の基軸通貨だったこともあり、ロンドンには現在も世界中の金融機関が集中しています。地理的にもアジアとアメリカの中間にありアクセスしやすいことから、ロンドン市場は全体の3割を超える取引が行われる、世界最大の外国為替市場となっています。
また、ポンドは主要の通貨の中でも為替レートの変動が大きいことで知られ、初心者には難しいものの、短期取引では人気の通貨です。
【重要指標】
【為替変動の要因】
〈主な上昇要因〉
〈主な下落要因〉
- ユーロ圏(特にドイツ・フランス)の経済指数の悪化
- 自国の経済指数の悪化
- 自国の政策金利の引き下げ
スイスフラン(フラン):CHF
【ユーロ危機以降もっとも性格を変えた通貨】
スイスフランは、スイスとリヒテンシュタインの公式通貨で、国際的に安定した通貨のひとつです。
スイスは歴史的に銀行業が盛んで、その金融管理に対する信用は国際的にも高いことで有名です。また、永世中立国であることから、戦争などの地政学的リスクが発生した場合には「有事のスイス買い」といわれるほど、資産の避難場所として世界中から資金が集まる傾向でした。
2015年、スイス国立銀行は、ユーロ危機以降続けてきたフラン売りユーロ買いの為替介入を廃止したところ、ユーロ/フランで1日で40%も上昇する波乱を引き起こし、スイスフランが安全とはいえない状況に陥りました。
【重要指標】
【為替変動の要因】
〈主な上昇要因〉
〈主な下落要因〉
カナダドル(加ドル):CAD
【アメリカの動きに影響される資源大国】
先進国であると同時に、原油やウラン、金など、さまざまな資源を抱えるカナダの通貨・カナダドルは、資源国通貨の中でも安定した通貨です。アメリカや日本など、財政赤字に悩む先進国が多い中で、財政黒字のカナダドルは、投資家にとってリスクの少ない通貨ともいわれています。
地理的にも経済的にもアメリカとの関係が強く、為替レートもアメリカの政治経済状況に連動しやすいため、取引する場合は、常にアメリカの経済状況と米ドルの為替レートをチェックする必要があります。また、日本など12か国で大筋合意したTPP(環太平洋戦略的経済連携協定。環太平洋地域の国による経済の自由化を目的とした経済協定)により、カナダドルの流動や需要に変化がある可能性があるので注意しましょう。
【重要指標】
【為替変動の要因】
〈主な上昇要因〉
〈主な下落要因〉
オーストラリアドル(豪ドル):AUD
【代表的な資源国通貨で先進国では金利が高め】
オーストラリアドルを発行するオーストラリアは、金や鉄鉱石をはじめさまざまな資源を輸出する、世界有数の資源国です。そのため、物価(先物価格)に左右されやすい一面もありますが、高い金利が魅力となっています。
金利が日本円などの通貨と比べて高く、日本では依然としてスワップポイントを目的とした投資が人気です。また、為替の変動も比較的大きく、為替差益による利益も十分に見込めます。
近年は対中国の輸出が全輸出量の3割以上を占めるなど、中国との密接な関係から、取引では中国経済が与える影響にも注意が必要です。
【重要指標】
【為替変動の要因】
〈主な上昇要因〉
- 貿易収支が好調
- 天然資源(金・鉄鉱石など)の価格の上昇
- 自国の政策金利の引き上げ
〈主な下落要因〉
- 貿易収支の悪化
- 天然資源(金・鉄鉱石)の価格の下落
- 自国の政策金利の引き下げ
- 中国の景気の悪化
ニュージーランドドル(NZドル):NZD
【オーストラリアとのつながりが強い通貨】
ニュージーランドドルは、先進国の中では金利が高い通貨でとして知られています。流通量は少ないものの金利が高いことから、日本では豪ドルとともに人気があります。
ニュージーランドは人口が少なく経済規模が小さいため、地理的に近く、経済的にも依存している部分が多いオーストラリアの影響を受けやすいのが特徴で、為替レートも豪ドルと似た動きをします。
また、農業資源国であるため、農作物の商品市況が上がると、買われやすくなります。特に乳業大手のフォンテラ乳業社が発表する乳製品価格に敏感に反応するほか、農産物の最大輸出国である中国の動向にも影響を受けます。
【重要指標】
【為替変動の要因】
〈主な上昇要因〉
〈主な下落要因〉
トルコリラ:TRY
【高金利だが値動きが激しくスプレッドが大】
トルコリラは、高金利が人気の新興国通貨です。かつてトルコではインフレや通貨単位を切り上げるデノミ(2005年、トルコではインフレにより経済が破綻していたため、それまで使用してきた通貨・リラを廃止し、通貨単位を切り上げて新トルコリラを発行した。これをきっかけにトルコリラ/円の為替レートは上昇した。)などの経済危機が続いていましたが、その対策の一環として打ち出した高金利政策により、経済が改善されました。人口増加率が高く労働力が豊富であることから、長期的な経済成長が期待されています。
トルコリラの魅力は、なんといっても20%を超える政策金利の高さです。FXで高利回りを狙う投資家を中心に近年取引が活発化し、取り扱い会社も増えています。ただし、マイナーな通貨のため流通量が少なく値動きが非常に激しいので、スワップポイント狙いの長期取引でも、為替レートの変動に注意が必要です。
【重要指標】
【為替変動の要因】
〈主な上昇要因〉
- 自国の経済指標(財政収支の改善・失業率の減少)
- 鉱物資源(金など)の価格の上昇
- 自国の政策金利の引き上げ
〈主な下落要因〉
南アフリカランド(南アランド/ランド):ZAR
【金の価格変動に影響される高金利通貨】
南アフリカランドを発行する南アフリカは、BRICS(2000年代以降、経済成長の著しいブラジル、ロシア、インド、中国の4か国に、南アフリカを加えた新興5か国の総称。)の一角を成す新興国で、金やダイヤモンド、プラチナなどの豊富な鉱物資源を誇る資源国として有名です。特に金の算出量は世界一です。そのため金相場の変動が為替相場にも大きく影響します。
経済的には決して安定しているとはいえませんが、反面、そのための高金利政策が、投資家にとっては魅力となっています。
ただし、流通量・情報ともに少ないことから値動きが激しく、瞬時に急騰・急落する可能性があるリスクの高い通貨でもあります。取引の際は、ハイリスク・ハイリターンであることを理解して、リスク管理をしっかり行うことが大切です。
【重要指標】
【為替変動の要因】
〈主な上昇要因〉
- 金の価格の上昇
- 自国の政策金利の引き上げ
〈主な下落要因〉
~人気の通貨ペアの特徴~
通貨ペアには、それぞれ特徴があります。特徴を知って、自分の取引スタイルに合ったペアを選びましょう。
米ドル/円(USD/JPY)
【情報が多く日本で一番人気のペア】
両通貨とも低金利のためスプレッドが小さいです。アメリカ情勢に関する情報も多いので、初心者でも取引しやすいです。
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
【世界で取引最多の通貨ペア】
ヨーロッパとアメリカの市場が重なる時間帯によく動き、テクニカル分析しやすいといわれています。
ユーロ/円(EUR/JPY)
【米ドル/円、ユーロ/米ドルの影響大】
米ドル/円に次ぐ人気のペアでスプレッドも小さいです。為替レートは米ドル/円、米ドル/ユーロの動向が影響します。
英ポンド/円(GBP/JPY)
【変動幅が大きくデイトレード向き】
英ポンドは変動幅が大きく、メジャー通貨の中ではハイリスク・ハイリターンです。低レバレッジでの取引が無難です。
豪ドル/円(AUD/JPY)
【中国経済の影響が直結しやすい】
東京と同時間帯に取引できるため、日本で人気の高い通貨です。中国の動向はダイレクトに反映されやすいです。
NZドル/円(NZD/JPY)
【世界的な取引量が少なく、変動は大】
スワップポイントを目的とした取引が多いです。為替レートはオーストラリアの影響を受けやすいのが特徴です。
トルコリラ/円(TRY/JPY)
【利回りが良く、小額投資が可能】
利回りが良く、為替レートの低さから小額取引も可能で人気です。ハイリスク・ハイリターンなためリスク管理が必須です。
南アランド/円(ZAR/JPY)
【金利が高くて為替レートが低い】
スワップポイントが高く、為替レートが低いので人気です。10万通貨から取引できるFX会社もあります。
今回は各国通貨の特徴を紹介しました。実際に取引をする際には、しっかりと勉強をしてから始めるようにしましょう。また、初めのころはレバレッジをかけずに取引に慣れるところから始めてみてください。