米国株のセクター別の特徴と比較。おすすめのセクターはどれか。
今回は、米国株のセクター別の特徴と比較について書いていきたい思います。
この記事は、投資をしている人はもちろん、セクター別の投資を考えている人、これから投資を始める人にとって、おすすめな記事となっています。
また、セクターとは何か。と疑問に思っている人にもおすすめです。
それぞれの特徴を理解して、投資の幅を広げて頂きたいと思います。
セクターとは
セクターとは、主に株式相場や株式市場を分析する際、便宜上区分するグループのことです。セクターは業種や発行株数、株価といったグループだけでなく、技術や開発といったテーマごとに分ける場合もあります。
ファンドマネージャーやアナリストは、セクターごとに業績の比較を行ったり、セクター内での株価の割高・割安を比較するなどして、投資の判断材料を探します。
まとめると、投資対象の区分のことで「セクター=業種」と、覚えておけば大丈夫です。
好況時や不況時に「強い・弱い」セクターを知ることで、危険を察知したり、投資チャンスを逃さないようになります。
セクターの種類
セクターの種類を見ていきましょう。
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情報技術
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ヘルスケア
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生活必需品
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電気通信サービス
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公共事業
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金融
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エネルギー
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一般消費財
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資本財
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素材
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不動産
以上の11セクターに振り分けられています。
セクター別の特徴
それでは、それぞれのセクターでどのような特徴があるのかを解説していきます。
情報技術
- 情報技術セクターは、アメリカ経済や株価を牽引してきたセクターのひとつです。
- とても人気が高く、世界の時価総額ランキング上位の銘柄が情報技術セクターとなっています。
- また、景気に敏感なセクターです。
株価
(Google)
これは、情報技術セクターのETFである「VGT」の株価です。
ここ数年で、凄まじいほどの上昇を見せています。市場平均を大きくアウトパフォームしました。
ヘルスケア
- ヘルスケアセクターは、過去の長期リターンで、最も良いパフォーマンスを出したセクターでもあります。「ジョンソンエンドジョンソン」などが有名です。
- そして、医療は、これからも必要になってきます。そのため、安定したパフォーマンスを期待できるでしょう。
- また、不況にも強い傾向があります。
株価
これは「VHT」という、ヘルスケアセクターのETFの株価です。
こちらも先ほど同様、株価は堅調です。コロナショックからの回復が早かったのが印象的です。
生活必需品
- 生活必需品セクターは、食品や飲料、日用品などの私たちの生活に欠かせない企業のセクターです。
- 日本でも馴染みのある「P&G」や「コカ・コーラ」、たばこで有名な「アルトリア・グループ」などが、このセクターです。
- 業績や配当が安定しているため、投資家からの人気が高いです。
- また、生活必需品を取り扱っているため、不況時でも強いと言われています。
株価
こちらは、2015年くらいから伸び悩んでいる感じがしますが、安定した株価となっています。
電気通信サービス
- 「フェイスブック」や「アルファベット(グーグル)」などが、このセクターです。
- 情報技術セクター同様、米国の株価を牽引してきたセクターです。
- 中国との覇権争いを繰り広げています。
株価
これは「VOX」という、ヘルスケアセクターのETFです。
こちらも伸び悩んでいるように見えます。しかし、FacebookやGoogleが今後も伸びていくのであれば、株価も伸びていくでしょう。そうなると、個別株で買った方が良いかもしれませんが、、、(笑)
公共事業
- 電気、ガス、水道など、私たちの生活に密着したサービス・仕組みを提供する事業です。
- 私たちの生活に必要なので、生活必需品セクター同様、不況に強い傾向があります。
株価
これは「VPU」という、公共事業セクターのETFです。
リーマンショック後から約3倍ほどの上昇を見せています。急成長するよりも、じわじわと上昇していくイメージです。
金融
- 銀行、保険、証券会社など企業への貸付、金融投資や資産運用などを事業としています。
- 米国最大の金融会社の「JPモルガン・チェース」、世界最大の投資会社で、投資の神様と言われているウォーレン・バフェット氏が会長兼CEOを務める「バークシャー・ハサウェイ」などが、このセクターです。
株価
これは「VFH」という、金融セクターのETFです。
景気や金利に敏感なセクターのため、コロナショックの影響で大きく下落しています。ただ、リーマンショック後からは4倍近い上昇をしています。
エネルギー
- 石油・ガスなどのエネルギー関連の採掘、探索、開発、販売、供給などを事業をしています。
- 世界的に石油から電気へとシフトしつつあるので、将来が不安視されています。
- 景気後退局面に強いと言われています。
- 石油メジャー最大手で、エッソやモービルと言ったガソリンスタンドを持つ「エクソンモービル」などが、このセクターです。
株価
これは「VDE」という、エネルギーセクターのETFです。
これまでのETFと違い、株価が下落傾向にあります。このまま下落していくのか、それとも上昇していくのか、とても楽しみです。しかし、配当利回りが高いため人気があります。
一般消費財
- 自動車、アパレル、ホテル、レジャーなど、消費者向けの小売りやサービスの提供を事業としています。
- 不況時にも比較的強いセクターですが、消費者の景気動向には敏感です。
- 配当利回りはあまり高くないです。
- 日本でも馴染みのある企業が多く、世界最大のファーストフードチェーンの「マクドナルド」、世界最大のオンライン小売業者の「アマゾン・ドット・コム」、売上世界一のスポーツ用品メーカーの「ナイキ」などが、このセクターです。
株価
リーマンショック後からは7倍近くも上昇しました。
資本財
- 航空、防衛、建設、物流などの資材の製造や販売、商業サービスの提供をしている企業を言います。
- 企業対消費者よりも、企業対企業をメインに事業をしています。
- 好況時に強い銘柄が多いので、不況時に投資をしておけば高いリターンを得られるかもしれません。
株価
これは「VIS」という、資本財のセクターETFです。
リーマンショック後からは5倍ほどの上昇を見せていますが、コロナショックでの下落は大きかったです。
素材
- 化学、建設資材、ガラス、紙、製鉄などを製造している企業を言います。
- あまり注目されず、地味なセクターですが、好況時には強い傾向にあります。
- 米国最大級の化学素材メーカーの「ダウ」などが、このセクターです。
株価
これは「VAW」という、素材セクターのETFです。
リーマンショック後からは3倍以上の上昇をしています。また、景気に敏感なため、下落するときは大きく、上昇するときも大きくという感じに見えます。
不動産
- 物件や土地の売買や賃貸、管理を行う企業のことです。
- 景気や金利の影響を受けやすいです。
- 高い利回りが魅力のセクターです。
- 電波塔や基地局など、無線通信インフラのリースを行う「アメリカン・タワー」、米国最大級の商業用不動産事業者で、ショッピングモールの所有・開発・リースを行っている「サイモン・プロパティ・グループ」が、このセクターです。
株価
これは「VNQ」という、不動産セクターのETFです。
リーマンショックとコロナショック時に、大きく下落していることが分かります。
セクター別の株価を比較
それぞれのセクターがどのようなパフォーマンスをしたのかを比較していきましょう。
<1年間の比較>
1年間でプラスになっているのは、情報技術、ヘルスケア、電気通信サービス、一般消費財の4セクターだけで、それ以外はマイナスとなっています。
ちなみに、VOOの1年間のパフォーマンスは-0.04なので、それを上回ったのも上記の4セクターだけです。
また、エネルギーセクターに関しては-45%近くも下落していることが分かります。
そして、セクター別の1年間のパフォーマンス「トップ3」と「ワースト3」は以下となっています。
景気に敏感な金融と不動産が大きく下落していることが分かります。
<5年間の比較>
次は、期間を延ばして5年間のチャートを見ていきます。
5年間でマイナスになっているセクターは、エネルギー、素材、不動産の3セクターとなっています。
ちなみに、VOOの5年間のパフォーマンスは35%ほどのプラスとなっています。
また、エネルギーに関しては先ほどよりも下落していて、-58%となっています。
そして、セクター別の5年間のパフォーマンス「トップ3」と「ワースト3」は以下のようになっています。
情報技術セクターは、5年間で2倍以上のパフォーマンスを出しています。一方、エネルギーセクターは、半分以上のマイナスを出しています。
<2020/10/30時点のセクター別の株価>
おすすめのセクターは?
長い歴史で見ると、米国株のセクター別のパフォーマンスは年によって変わってきます。
しかし、下のグラフのように、過去10年間だけで見た場合、VOOのパフォーマンスを上回ったセクターに投資した方が良いでしょう。
見ての通り、VGTに関しては、VOOよりも2倍ほどのパフォーマンスで上昇しました。
VOOを買うことで、パフォーマンスの悪いセクターへの投資もしてしまうので、それだけパフォーマンスは落ちてしまいます。
そのため、こだわりのある人は自分が保有したいセクターだけに投資するのも良いと思います。
まとめ
今回は、セクター別の特徴と比較をしていきました。
私自身、この記事を書いているうちに各セクターの特徴が理解できて面白かったです。
また、不況時・好況時に強いセクターが分かれば、「この状況なら、このセクターを買っておこう。」と、投資チャンスを掴むことが出来ます。
現在投資しているもので、自分自身に足りないセクターが何かを把握して、それを補う形でセクターETFを取り入れて頂きたいです。
投資は自己責任ですので、自分が納得したものへの投資をおすすめします。