米国株のセクター別の特徴と比較。おすすめのセクターはどれか。
今回は、米国株のセクター別の特徴と比較について書いていきたい思います。
この記事は、投資をしている人はもちろん、セクター別の投資を考えている人、これから投資を始める人にとって、おすすめな記事となっています。
また、セクターとは何か。と疑問に思っている人にもおすすめです。
それぞれの特徴を理解して、投資の幅を広げて頂きたいと思います。
セクターとは
セクターとは、主に株式相場や株式市場を分析する際、便宜上区分するグループのことです。セクターは業種や発行株数、株価といったグループだけでなく、技術や開発といったテーマごとに分ける場合もあります。
ファンドマネージャーやアナリストは、セクターごとに業績の比較を行ったり、セクター内での株価の割高・割安を比較するなどして、投資の判断材料を探します。
まとめると、投資対象の区分のことで「セクター=業種」と、覚えておけば大丈夫です。
好況時や不況時に「強い・弱い」セクターを知ることで、危険を察知したり、投資チャンスを逃さないようになります。
セクターの種類
セクターの種類を見ていきましょう。
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情報技術
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ヘルスケア
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生活必需品
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電気通信サービス
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公共事業
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金融
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エネルギー
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一般消費財
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資本財
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素材
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不動産
以上の11セクターに振り分けられています。
セクター別の特徴
それでは、それぞれのセクターでどのような特徴があるのかを解説していきます。
情報技術
- 情報技術セクターは、アメリカ経済や株価を牽引してきたセクターのひとつです。
- とても人気が高く、世界の時価総額ランキング上位の銘柄が情報技術セクターとなっています。
- また、景気に敏感なセクターです。
株価
(Google)
これは、情報技術セクターのETFである「VGT」の株価です。
ここ数年で、凄まじいほどの上昇を見せています。市場平均を大きくアウトパフォームしました。
ヘルスケア
- ヘルスケアセクターは、過去の長期リターンで、最も良いパフォーマンスを出したセクターでもあります。「ジョンソンエンドジョンソン」などが有名です。
- そして、医療は、これからも必要になってきます。そのため、安定したパフォーマンスを期待できるでしょう。
- また、不況にも強い傾向があります。
株価
これは「VHT」という、ヘルスケアセクターのETFの株価です。
こちらも先ほど同様、株価は堅調です。コロナショックからの回復が早かったのが印象的です。
生活必需品
- 生活必需品セクターは、食品や飲料、日用品などの私たちの生活に欠かせない企業のセクターです。
- 日本でも馴染みのある「P&G」や「コカ・コーラ」、たばこで有名な「アルトリア・グループ」などが、このセクターです。
- 業績や配当が安定しているため、投資家からの人気が高いです。
- また、生活必需品を取り扱っているため、不況時でも強いと言われています。
株価
こちらは、2015年くらいから伸び悩んでいる感じがしますが、安定した株価となっています。
電気通信サービス
- 「フェイスブック」や「アルファベット(グーグル)」などが、このセクターです。
- 情報技術セクター同様、米国の株価を牽引してきたセクターです。
- 中国との覇権争いを繰り広げています。
株価
これは「VOX」という、ヘルスケアセクターのETFです。
こちらも伸び悩んでいるように見えます。しかし、FacebookやGoogleが今後も伸びていくのであれば、株価も伸びていくでしょう。そうなると、個別株で買った方が良いかもしれませんが、、、(笑)
公共事業
- 電気、ガス、水道など、私たちの生活に密着したサービス・仕組みを提供する事業です。
- 私たちの生活に必要なので、生活必需品セクター同様、不況に強い傾向があります。
株価
これは「VPU」という、公共事業セクターのETFです。
リーマンショック後から約3倍ほどの上昇を見せています。急成長するよりも、じわじわと上昇していくイメージです。
金融
- 銀行、保険、証券会社など企業への貸付、金融投資や資産運用などを事業としています。
- 米国最大の金融会社の「JPモルガン・チェース」、世界最大の投資会社で、投資の神様と言われているウォーレン・バフェット氏が会長兼CEOを務める「バークシャー・ハサウェイ」などが、このセクターです。
株価
これは「VFH」という、金融セクターのETFです。
景気や金利に敏感なセクターのため、コロナショックの影響で大きく下落しています。ただ、リーマンショック後からは4倍近い上昇をしています。
エネルギー
- 石油・ガスなどのエネルギー関連の採掘、探索、開発、販売、供給などを事業をしています。
- 世界的に石油から電気へとシフトしつつあるので、将来が不安視されています。
- 景気後退局面に強いと言われています。
- 石油メジャー最大手で、エッソやモービルと言ったガソリンスタンドを持つ「エクソンモービル」などが、このセクターです。
株価
これは「VDE」という、エネルギーセクターのETFです。
これまでのETFと違い、株価が下落傾向にあります。このまま下落していくのか、それとも上昇していくのか、とても楽しみです。しかし、配当利回りが高いため人気があります。
一般消費財
- 自動車、アパレル、ホテル、レジャーなど、消費者向けの小売りやサービスの提供を事業としています。
- 不況時にも比較的強いセクターですが、消費者の景気動向には敏感です。
- 配当利回りはあまり高くないです。
- 日本でも馴染みのある企業が多く、世界最大のファーストフードチェーンの「マクドナルド」、世界最大のオンライン小売業者の「アマゾン・ドット・コム」、売上世界一のスポーツ用品メーカーの「ナイキ」などが、このセクターです。
株価
リーマンショック後からは7倍近くも上昇しました。
資本財
- 航空、防衛、建設、物流などの資材の製造や販売、商業サービスの提供をしている企業を言います。
- 企業対消費者よりも、企業対企業をメインに事業をしています。
- 好況時に強い銘柄が多いので、不況時に投資をしておけば高いリターンを得られるかもしれません。
株価
これは「VIS」という、資本財のセクターETFです。
リーマンショック後からは5倍ほどの上昇を見せていますが、コロナショックでの下落は大きかったです。
素材
- 化学、建設資材、ガラス、紙、製鉄などを製造している企業を言います。
- あまり注目されず、地味なセクターですが、好況時には強い傾向にあります。
- 米国最大級の化学素材メーカーの「ダウ」などが、このセクターです。
株価
これは「VAW」という、素材セクターのETFです。
リーマンショック後からは3倍以上の上昇をしています。また、景気に敏感なため、下落するときは大きく、上昇するときも大きくという感じに見えます。
不動産
- 物件や土地の売買や賃貸、管理を行う企業のことです。
- 景気や金利の影響を受けやすいです。
- 高い利回りが魅力のセクターです。
- 電波塔や基地局など、無線通信インフラのリースを行う「アメリカン・タワー」、米国最大級の商業用不動産事業者で、ショッピングモールの所有・開発・リースを行っている「サイモン・プロパティ・グループ」が、このセクターです。
株価
これは「VNQ」という、不動産セクターのETFです。
リーマンショックとコロナショック時に、大きく下落していることが分かります。
セクター別の株価を比較
それぞれのセクターがどのようなパフォーマンスをしたのかを比較していきましょう。
<1年間の比較>
1年間でプラスになっているのは、情報技術、ヘルスケア、電気通信サービス、一般消費財の4セクターだけで、それ以外はマイナスとなっています。
ちなみに、VOOの1年間のパフォーマンスは-0.04なので、それを上回ったのも上記の4セクターだけです。
また、エネルギーセクターに関しては-45%近くも下落していることが分かります。
そして、セクター別の1年間のパフォーマンス「トップ3」と「ワースト3」は以下となっています。
景気に敏感な金融と不動産が大きく下落していることが分かります。
<5年間の比較>
次は、期間を延ばして5年間のチャートを見ていきます。
5年間でマイナスになっているセクターは、エネルギー、素材、不動産の3セクターとなっています。
ちなみに、VOOの5年間のパフォーマンスは35%ほどのプラスとなっています。
また、エネルギーに関しては先ほどよりも下落していて、-58%となっています。
そして、セクター別の5年間のパフォーマンス「トップ3」と「ワースト3」は以下のようになっています。
情報技術セクターは、5年間で2倍以上のパフォーマンスを出しています。一方、エネルギーセクターは、半分以上のマイナスを出しています。
<2020/10/30時点のセクター別の株価>
おすすめのセクターは?
長い歴史で見ると、米国株のセクター別のパフォーマンスは年によって変わってきます。
しかし、下のグラフのように、過去10年間だけで見た場合、VOOのパフォーマンスを上回ったセクターに投資した方が良いでしょう。
見ての通り、VGTに関しては、VOOよりも2倍ほどのパフォーマンスで上昇しました。
VOOを買うことで、パフォーマンスの悪いセクターへの投資もしてしまうので、それだけパフォーマンスは落ちてしまいます。
そのため、こだわりのある人は自分が保有したいセクターだけに投資するのも良いと思います。
まとめ
今回は、セクター別の特徴と比較をしていきました。
私自身、この記事を書いているうちに各セクターの特徴が理解できて面白かったです。
また、不況時・好況時に強いセクターが分かれば、「この状況なら、このセクターを買っておこう。」と、投資チャンスを掴むことが出来ます。
現在投資しているもので、自分自身に足りないセクターが何かを把握して、それを補う形でセクターETFを取り入れて頂きたいです。
投資は自己責任ですので、自分が納得したものへの投資をおすすめします。
【米国高配当ETF】VYM、HDV、SPYDの比較とおすすめ。
今回は、米国高配当ETFでも人気の高い「VYM」「HDV」「SPYD」の3つを比較していきます。
「投資信託だけでは物足りない」「インカムも欲しい」と、思っている人におすすめするのが『高配当ETF』です。これを1つ買うだけで手軽に分散投資ができ、お金も入ってきます。そして、多くの人が投資信託+高配当ETFをやっている気がします。
また、高配当ETFを検討している人は上記のどれが良いか悩むと思います。私自身も何度も悩みました。
そんな人の悩みを少しでも解決できるように、分かりやすく比較していきたいと思います。
それでは、ご覧ください。
VYMとは
- VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)
- バンガード社が運用
- FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックスのパフォーマンスへの連動を目指す
- 時価総額加重平均のパッシブ運用
VYMは米国高配当ETFの中で一番人気があり、唯一リーマンショックを経験しているため、信頼・実績があります。
しかし、他の高配当ETFと比べてしまうと、配当利回りが低く感じてしまいます。
「VYM」については、以下の記事で詳しく書いています。
HDVとは
- ブラック・ロック社が運用
- モーニングスター配当フォーカス指数のパフォーマンスへの連動を目指す
- 財務状態が健全であり、配当支払いの持続が高い企業の上位75銘柄程度を対象としている
- 投資家に配当を支払うことのできる資金余力(配当力)によってウェイト付けを行う
これを見る限り、HDVは安定した運用を目指しているように感じます。また、連続増配銘柄も多く組み込まれているため、増配銘柄好きにはたまらないと思います。
「HDV」については、以下の記事で詳しく説明しています。
SPYDとは
- ステート・ストリート社が運用
- S&P 500 高配当指数のパフォーマンスへの連動を目指す
- 均等加重平均を用いている
3つの中で、配当利回りは一番高くなっています。そして、設定日が一番新しいため、今後どうなっていくのか未知数で面白いと思います。また、不動産セクターが多いので、他とは違う値動きをすると思います。
しかし、コロナショックで大きく下落したことが投資家の中で話題となりました。
「SPYD」については、以下の記事で詳しく説明しています。
「VYM」「HDV」「SPYD」の比較
基本情報の比較
それぞれの設定年や単価、経費率といった、基本情報の比較をしていきたいと思います。
経費率にそこまでの差は感じられないので、気にすることはないでしょう。しかし、銘柄数や配当利回り、純資産総額はバラバラとなっています。
まず、銘柄数に関してです。「銘柄数が多ければ多いほど分散ができている」と、思われています。しかし、20~30銘柄でも十分と言われているので、「多ければ良い」というわけではありません。大切なのは、銘柄数の分散に加えて、セクターの分散です。
次に、配当利回りに関してです。配当利回りが高いに越したことはないのですが、配当利回りが高い銘柄というのは、「財務状況の不安」や「株価の低下」であることが多いので、そこは注意が必要です。
最後に、組み入れ回数に関してです。組み入れ回数が少ないほうがパフォーマンスは高くなると言われています。そのため、HDVの年4回というのは多い気もします。
セクター別割合の比較
ここで、それぞれのセクター割合を見ていきたいと思います。
VYM
VYMは、金融セクターが1番大きな割合を占めています。あとは、どのセクターもバランス良く入っています。
金融セクターは、金利や経済に敏感です。しかし、資本財やヘルスケアなどの景気に左右されにくいセクターの割合も大きいので、比較的バランスが取れていると思います。
また、米国株価の上昇を後押ししたテクノロジーも多く含まれています。今後もテクノロジーが好調ならば、VYMにとっては上昇要因につながるでしょう。
HDV
HDVは、エネルギーセクターの割合が1番大きな割合を占めています。そして、2番目に比較的に安定しているヘルスケアが入っており、次に通信と続きます。
しかし、エネルギーセクターの株価は2014年から下落傾向にあります。以下のチャートをご覧ください。
(Google)
これは、「VDE」といい、エネルギー銘柄で構成されているETFです。このように、米国株価が好調だった裏に、これほど伸び悩んでいるセクターがあったのです。
そして、HDVはそのセクターを1/4も含んでいるため、今後どうなるのかが不安要素となります。しかし、エネルギーセクターが上昇すれば、面白くなってくるでしょう。
SPYD
SPYDは、不動産が1番大きな割合を占めています。そして、金融、エネルギー、生活必需品セクターと続きます。
他とは違う組み入れセクター割合で、高配当を目指しています。しかし、財務が不安定な銘柄も組み入れられているため、経済不安が起きた時には大きく下落するでしょう。
上位組み入れ銘柄の比較
VYM
(バンガード)
日本でも馴染みのある企業が上位に入っています。
HDV
(ブラック・ロック)
エクソンモービルが10%も入っています。 こちらも日本で馴染みのある企業がいくつか入っています。
SPYD
(ステート・ストリート)
聞いたことのない企業もあるのではないでしょうか。ほぼ聞いたことがないと思います。
株価の比較
セクター割合も大きく違い、組み入れ銘柄も異なっています。ということは、株価も異なる動きをしています。以下のチャートをご覧ください。
<VYM、HDV、SPYDの2015年からのチャート>
コロナショック前の段階では、 僅差ですが、VYMとSPYDが良い勝負をしています。もう少し、直近の株価を見ていきましょう。
<VYM、HDV、SPYDの1年間のチャート>
ご覧の通り、コロナショックでSPYDだけ大きく下落していることが分かります。VYMと比べても、3倍近い下落率となっています。
なぜ、SPYDだけが一人負けみたいなことになったのでしょうか。
その原因として、以下のことが挙げられます。
- 財務状況が不安な銘柄があり、設定年が浅い
SPYDは2015年からの運用で、リーマンショックを経験していません。HDVも2011年からの運用と経験していませんが、SPYDほどの暴落はしませんでした。また、組み入れ銘柄数もほぼ同じです。
なぜ、こんなにも差が出てしまったのでしょうか。
それは、HDVの組み入れ銘柄の多くが、財務状況が健全であるからです。そのため、400銘柄も分散しているVYMほどの下落で済みました。
- 80銘柄で、均等加重平均を用いている
均等加重平均とは、時価総額の大きい企業の株も小さい企業の株も同じくらいの割合で保有することを言います。そのため、時価総額の小さい企業が時価総額の大きい企業と同じくらいの影響力を持ちます。爆上げもあるし、爆下げもあるということです(笑)
おすすめ
個人的には、「VYM」をおすすめします。
なぜなら、「唯一、リーマンショックを乗り越えている実績」と「テクノロジーセクターが多く組み込まれているため、株価成長が期待できる」という2つの点です。
これから長期で保有してくなら、安心でき、成長する銘柄を買う必要があります。そのため、上記に書いたような点からVYMなのです。
しかし、財務状況が健全な銘柄が多く含まれている「HDV」、設定年が浅く、未知数な「SPYD」も面白いと思います。
まとめ
今回は、米国高配当ETFの「VYM」「HDV」「SPYD」の比較をしていきました。
それぞれの銘柄が個性的で、魅力も違ってきます。テクノロジー多めか、エネルギー多めか、不動産多めか、それぞれの特徴も理解しておきましょう。
また、今回の暴落でどのような値動きをするのかも明らかになりました。自分ならどこまでの下落に耐えられるのか、検討してください。
そして、自分に合った銘柄を見つけ、それを信じて投資していき、決して売ることはしないようにしましょう。
投資は自己責任ですが、この記事が少しでも多くの人の役に立てれば光栄です 。
【初心者向け】投資初心者が失敗しないための投資法。
投資を始める際に、多くの人が思うことがあります。
それは、「何から始めれば良いのか」「何を買えば良いのか」「どうすれば良いのか」「いつ始めれば良いのか」ということです。
私も投資を始める時に、そのようなことを何回も思っていました。しかし、今では「始めて良かった」と、思っています。
そして、今回は『【初心者向け】投資初心者が失敗しないための投資法』と、題して書いていきたいと思います。
この記事を読んでいただき、何年後かに「投資をしておいて良かった!」と、思ってもらえればうれしいです。
それでは、いきましょう!
なぜ、銀行預金ではなく投資なのか
投資法を紹介する前に、私が銀行預金ではなく投資をオススメする理由について説明していきます。
まずは、次の画像を見てください。
この画像はとても有名で、多くの投資家が知っています。
これは、200年間で「株式」「短・長期国債」「金」「米ドル」の価値が、どのような推移で変動したのかを表したチャートです。
ここで注目して欲しいのは、株式と現金の推移です。
1801年、それぞれが1ドルの価値からスタートしています。そして、200年後には株式が60万倍になっています。それに対して、ドルは0.07ドルと10分の1以下まで下落しています。
仮に、200年前に株式を10万円分保有していたとします。その場合、200年後の価値は600億円になっていることになります。600億円ですよ?笑えますよね。
では、なぜここまでの差が出たのでしょうか。
それは、「インフレ」が起きているからです。
インフレとは、モノの値段が上がり、お金の価値が下がることです。
言い換えれば、今の値段で買えていたモノが、数十年後には買えないということです。
そのため、右肩上がりで上昇を続けている株式などのインフレに強い資産を持つことが大切なのです。
「投資はリスクがあり恐い」「将来や老後のために貯金している」このような意見は合ってるようで間違っているのです。
何から始めれば良いのか
「現金以外の資産を持つことが大切」ということは理解して頂けたと思います。
それでは、まず「何から始めれば良いのか」ということについて説明していきます。
その前に、投資で一番大切なことは「損を出さない」ことです。
損を出さないためには、投資先を分散し、長期にわたって上昇している商品を買う必要があります。
それを前提に、「何から始めれば良いのか」について説明していきます。
結論から言いますと、私がおすすめするのは「インデックス投資」です。
インデックス投資とは、日経平均やTOPIX、ダウ、S&P500、ナスダックなどの株価指数と同じ値動きを目指す投資方法のことです。
インデックス投資をすれば、手軽に分散投資が出来ます。分散投資をすることで、1社が潰れても大損することはありません。
このように、分散投資=リスクの低下につながるのです。
「リスクが低下したらリターンも落ちる。」これは正しい考えです。
しかし、インデックス投資はリスクを抑えつつ、高パフォーマンスが期待できます。
また、世界には多くの金融商品が存在しています。また、多くの商品が誕生しては消えていきます。
その中から、私たちは優良商品を選んでいかなければいけません。
何を買えば良いのか
「インデックス投資が良い」ということは、理解して頂けたと思います。
次に、「何を買えば良いのか」です。
世界中には多くのインデックス商品があります。
その中で、私がおすすめするのは「米国のインデックス」です。
以下の記事は、米国のインデックス銘柄(VOOとVTI)の比較です。
では、なぜ米国が良いのかを説明していきます。
以下のグラフはインデックスで有名な「S&P500」の株価推移です。
(Google)
ITバブルやリーマンショックなどで暴落をしていますが、それ乗り越えて現在の株価まで来ています。
株価は常に上昇しており、年平均で8%くらいの上昇を見せています。
現在、預金金利が良くても0.2%です。そのため、米国のインデックスを買って、あとはほったらかし状態で8%近く資産が上昇していくなんて夢のようです。
今後も、その水準が続くのかは分かりませんが、預金よりかは良いと思います。
どうすれば良いのか
「米国のインデックス銘柄を買う」と、言いましたが、「どうすれば良いのか」について書いていきます。
インデックス投資をするには2種類の方法があります。それは、「投資信託」と「ETF」です。
この2つの違いについては、以下の記事をご覧ください。
そして、私が初心者におすすめするのは「投資信託で積み立てる」ということです。
ETFでも良いのですが、自動で積み立ててくれる証券会社が少なく、どうしても手動でやらなければならなくなります。
そのため、「今月は株高だからやめとくかな」「めんどくさくなった」といった、感情で投資をやめてしまうこともあります。
しかし、積立投資はとても簡単で、一度積み立て設定をすれば、あとはほったらかしで大丈夫です。感情に左右されずに、淡々と積み立ててくれます。
そして、数十年後には想像以上の額になっているでしょう。
また、投資信託の積み立てを利用するなら「つみたてNISA」や「iDeCo」という制度を利用していきましょう。
本来、投資で得た利益については税金が課せられます。しかし、上記の制度を利用することで、利益が非課税となります。ぜひ、利用を検討してみてください。
どのような違いがあるのか知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
いつ始めれば良いのか
ここまで、「米国のインデックスを投資信託で長期積立する」というところまで来ました。あとは、「いつ始めれば良いのか」というタイミングだけです。
結論から言うと、「今」です。
もう一度、先ほどのS&P500のチャートを見てみましょう。
正直、どこで始めても上昇していきます。しかも、現在はコロナショックもあり株価は下がっています。この絶好機を逃してはいけません。
そのため、「今」なのです。
また、私たちが株価の予想をすることは困難です。タイミングを計って売買することよりも、早く投資を始めて、長期で運用していくことが最適です。
まとめ
今回は『投資初心者が失敗しないための投資法』について書いていきました。
株式は200年で60万倍も上昇しました。一方、米ドルは10分の1以下にまで下落しました。
私たちはこの事実を受け止め、どのように行動していけば良いのでしょうか。
それは、現金だけを持つのではなく、株式などのインフレに強い資産も持つことです。
そのために投資が必要になってきます。難しいことは考えなくて大丈夫です。投資法はいたって簡単で、「米国のインデックス投資を積み立てる」だけで良いのです。
この投資法はシンプルながら結果が出ます。まさに、初心者投資家向きなのです。
また、投資は長期になればなるほど、その威力を発揮します。そのため、早く始めた人だけが得られる力があります。
あとは、あなた自身がやるのか。やらないのか。だけです。
今回の記事が、あなたの投資への第一歩になればうれしく思います。
米国高配当ETFの「VYM」とは?メリット・デメリット
今回は、米国高配当株式ETFの人気ナンバーワン銘柄である「VYM」について書いていきます。
その前に、同じ米国高配当株式ETFの「SPYD」と「HDV」の記事も書いているので、ぜひ見てください。
VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)とは?
正式名称は、バンガード・ハイディビデンド・イールドETF(Vanguard High Dividend Yield ETF) です。
簡単に特徴をまとめると以下のようになります。
- FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックスのパフォーマンスへの連動を目指しています。
- 時価総額加重平均を用いています。
基本情報(2020/5/2)
- 運用会社➡バンガード社
- 設定年➡2006/11/10(一番古い)
- 単価(ドル)➡75.92
- 経費率➡0.06%(最低コスト)
- 純資産総額(百万米ドル)➡30,221
- 銘柄数➡400銘柄(最多)
- 配当頻度➡年4回
- 配当率➡3~4%
- 組み入れ回数➡年1回(最少)
- 1年パフォーマンス➡-10.28%
「VYM」は、3銘柄中最も歴史が古く、リーマンショックを乗り越えたという信頼性があります。他の2銘柄はリーマンショック後に設定されたので、暴落を経験していません。
そして、「コスト」は3銘柄中トップの低さです。しかし、そこまで気にしなくても大丈夫です。そして、「銘柄数」も400銘柄と分散力は十分でしょう。また、「組み入れ回数」は年に1回と少ないので、リターンは出やすい傾向にあります。
運用会社
運用会社は、私もお世話になっている「バンガード」社です。言わずもがな、投資家なら誰でも知っている運用会社です。
バンガード社は「VT」「VTI」「VOO」など、有名な商品がたくさんあります。
株価
下のグラフは、「VYM」の設定来のチャートです。
何度も下落・暴落を乗り越えているのが分かります。そして、リーマンショック後からの上昇率が5倍以上もあり、順調に上昇しています。
上位組み入れ銘柄
2020年5月現在、「VYM」の上位組み入れ銘柄は以下のようになっています。
日本でも馴染みのある「ジョンソンエンドジョンソン(J&J)」「プロクター&ギャンブル(P&G)」「インテル」「コカ・コーラ」などが上位に入っています。そして、ここでも高配当株で有名な「エクソンモービル」が入っています。
また、上位セクターの割合は「ヘルスケア3社」「生活必需品2社」「通信サービス2社」「金融1社」「テクノロジー1社」「エネルギー1社」となっています。
セクター別の割合
ここで、「VYM」のセクター別の割合を見ていきましょう。
ご覧のように、程よく分散されていることが分かると思います。また、「金融」「消費財」「ヘルスケア」で半分近くを占めています。
一番大きな割合を占めている「金融」は、経済に敏感なため、景気に左右される傾向にあります。しかし、「資本財」「ヘルスケア」「消費者サービス」「公益」など、景気に左右されにくいセクターも大きな割合になっているので、安心して長期保有できるでしょう。
また、米国株価の上昇を大きく後押しした「テクノロジー」も大きな割合を占めています。そのため、今後も「テクノロジー」が大きく成長をした場合、この商品はさらに上昇していくと思います。
メリット・デメリット
高配当株式ETFの人気ナンバーワン銘柄である、「VYM」にはどのようなメリット・デメリットが存在するのでしょうか。それを見て頂きたいと思います。
メリット
- 高配当が見込める
この商品を保有するだけで、3~4%の配当が見込めます。「リスクを減らして、配当もある程度得たい。」という人には良いと思います。
- 値上がり益も狙える
「高配当(インカム)」が何と言っても魅力的な商品ですが、「値上がり益(キャピタル)」も狙えてしまいます。まさに、一石二鳥です。もう一度、チャートをご覧ください。
底値から保有していた場合、5倍以上も株価は上がっています。配当を貰いながら、株価も上がっていくということで、長期的に見ても素晴らしい商品だと思います。
- 経費率の低さ
「VYM」のコストは0.06%です。先ほども言いましたが、他の高配当株式ETFと比べて最もコストは低いです。例えば、100万円投資しても年に600円しかかかりません。コストが高いと、大きな足かせとなってしまいます。長期保有前提の場合は、コストの低い商品を買うようにしましょう。
- 分散力
米国大型株のうち配当の高い400銘柄が組み入れているため、分散力はあります。
デメリット
-
「VTI」「VOO」には若干劣る
そこまで気にするレベルではありませんが、「VTI」「VOO」と比べると、トータルリターンは若干劣ってしまいます。以下のグラフは、それぞれの10年間の推移を表しています。
「トータルリターン重視!」という人は、「VTI」「VOO」に投資していくことをオススメします。
-
「SPYD」「HDV」より配当率は低い
配当率はSPYD>HDV>VYMという感じになっています。こう見ると、「高配当」というイメージが下がってしまうかもしれません。「値上がり益を狙いつつ、ある程度の配当も欲しい」という人に向いているかもしれません。
まとめ
今回は、高配当株式ETFの中で人気ナンバーワンの「VYM」について書いていきました。
「VYM」は、「配当も得られるし、値上がり益も得られる」素晴らしい商品だと思います。そのため、間違いなくオススメできる高配当ETFです。
そして、「リーマンショックを乗り越え、上昇した。」という実績と信頼があるので、今回のコロナショックも乗り越えて上昇してくれることを信じましょう。また、決して売ることはせずに、長期保有していきましょう!
米国高配当ETFの「HDV」とは?メリット・デメリット
今回は米国高配当ETFの「HDV」について書いていきたいと思います。
同じ米国高配当ETFの「SPYD」について書いたので、気になる人は見てください。
HDVとは?
正式名称は、iシェアーズ コア米国高配当株 ETF(iShares Core HighDividend ETF)です。
通常、モーニングスター配当フォーカス指数(同指数)の価格と利回りパフォーマンスに連動した投資成果を目指す。
同指数は、財務健全性が高く、同時に持続的に平均以上の配当を支払うことのできる、質の高い米国企業への投資機会を提供する。同指数は75銘柄で構成されており、投資家に配当を支払うことのできる資金余力(配当力)によってウェイト付けを行う。(楽天証券)
「HDV」の特徴を簡単にまとめると、以下のようになります。
- 米国の有名・優良企業に投資する
- 財務状態が健全であり、配当金を支払っている企業の株式75銘柄に投資する
- インカム獲得を目指すために活用できる
基本情報(2020/4/29)
- 運用会社➡ブラックロック社
- 設定年➡2011/3/29
- 単価(ドル)➡81
- 経費率➡0.08%
- 純資産総額(百万米ドル)➡5,624
- 銘柄数➡75銘柄
- 配当頻度➡年4回
- 配当率➡3~4%
- 組み入れ回数➡年4回
- 1年パフォーマンス➡-10.49%
「SPYD」の配当率が5%ほどなので、比べてしまうと低く感じますが、十分な配当率だと思います。
1年パフォーマンスは大きくマイナスとなっています。これは、どの米国株ETFにも言えることなので、仕方のないことだと思います。コロナが終息してからの株価が楽しみです。
運用会社
HDVは「ブラックロック」という会社が運用しています。ブラックロック社は、世界の三大運用会社の一つで、運用資産残高は約700兆円もあります(3社中トップ)。超大手の会社が運用しているため、安心して任せられるでしょう。
株価
ここで、株価を見ていきましょう。
(Google)
設定日は50ドル付近でしたが、そこから上昇していき、コロナショック前に100ドル近い値を付けました。10年以内で2倍にも膨れ上がっています。そして現在、V字回復しています。
組み入れ上位銘柄
2020年5月現在の上位銘柄は以下の通りです。
皆さんの知っている会社が数社ほどあるのではないでしょうか。また、割合が一番大きい「エクソンモービル」ですが、ここ数年は伸び悩んでいます。しかし、高い配当率や連続増配をしているので、人気はあります。
上位銘柄のセクター割合は、「エネルギー2社」「通信2社」「ヘルスケア2社」「テクノロジー1社」「生活必需品2社」となっています。
セクター別の割合
セクター別の割合は以下のようになっています。
HDVのセクターは、「エネルギー」と「ヘルスケア」で4割以上を占めています。景気・原油価格に左右されるエネルギーと、景気に左右されにくいヘルスケアを組み合わせています。
ここで、「SPYD」のセクター別の割合を見てみましょう。
見ての通り、お互いをカバーしているように見えます。また、この2つを組み合わせて保有している人が多いです。
HDVのメリット・デメリット
メリット
- 高配当が見込める
高配当ETFの名の通り、この商品の一番のメリットは何と言っても高い分配金です。2020年5月現在の配当利回りは4.62%あります。
- キャピタルゲインも狙える
HDVは高配当なのに株価も上昇しています。「インカム+キャピタル」という、良いとこ取りが出来てしまうのです。
下のグラフは、HDVの2011年以来のチャートです。
年平均で11%ほどのリターンになります。10年弱で2.5倍のリターンが得られるということです。
- 経費率の低さ
HDVの経費率は「0.08%」と、超低コストのため、10年、20年と長期運用が出来ます。例えば、100万円買っても、800円しかコストがかからない計算です。
また、「SPYD」は0.07%ですが、0.01%のコストは全然気にしなくても大丈夫です。
デメリット
- エネルギーセクターの今後が不安
HDVのセクター比率で一番大きい割合を占めているのがエネルギーセクターです。しかし、原油価格の下落もあり、エネルギーセクターがここ数年伸び悩んでいます。そのため、今後が不安な気もします。
下のグラフは「VDE」と言って、米国のエネルギー株に投資するETFです。
見ての通り下落が続いており、2008年のリーマンショック時よりも下げていることが分かります。このセクターが今後も足を引っ張る形になれば、伸び悩むことになるでしょう。
- 組み入れ回数が多い
「組み入れ回数が多いほうが良いのでは?」と、思うかもしれませんが、組み入れ回数が少ないほうがトータルリターンが高いと言われています。
そのため、HDVの組み入れ回数が4回、SPYDが2回、VYMが1回なので、ちょっと多い気がします。
HDVの配当金の推移(四半期)
これは、2011年~2020年の配当金の推移をグラフにしたものです。
ご覧の通り、配当金は右肩上がりに伸びています。
まとめ
今回は『米国高配当ETFの「HDV」とは?メリット・デメリット』について書いていきました。
HDVの安定した株価と配当率は何と言っても魅力です。一方、今後のエネルギーセクターの問題点もあるため、どうなっていくのかが楽しみです。
また、SPYDを保有している人は、HDVの保有も検討してみて下さい。2つが合わさることで、セクターバランスが取れ、より安定したものになるかもしれません。
投資をする際は、長期で保有し、なるべく売らないようにしましょう。
金のETF投資『GLD』とは?メリット・デメリットについて。
今回は、「金(ゴールド)」に投資するETFである「GLD」について書いていきます。
はじめに
「株」や「債券」に投資している人は多いです。それに比べて「金」に投資をしている人は少ないと思います。私自身も保有していません。
そして、どのような特徴があり、メリット・デメリットについて、イマイチわからないと思います。
金の特徴として、株が下落した時に上昇する傾向にあります。そのため、金は「安全資産」「有事の金」「守りの資産」と、言われています。
また、「金を保有すれば、資産の増減が緩やかになる」とも言われています。
そして、今回は金のETF「GLD」について書いていきます。この商品はどういった特徴があり、どんな値動きをするのか、などを書いていきます。
それでは、いきましょう!
基本情報
SPDRゴールド・トラスト (SPDR Gold Trust)は投資信託会社である。
【事業内容】同信託は金を保有し、並びに金蓄積と引き換えに株(シェアーズ)(最小単位は10万のシェアーズで、バスケットとも呼ばれる。)を発行し、バスケットの償還に関連する金を配布している。同信託の投資目的は株に地金価格の動向を反映することである。
株は投資者に金の投資方法を提供するために設計される。株は同信託の小額未処分受益権ユニットと所有権を示す。同信託のスポンサーはWorld Gold Trust Services, LLC である。同信託の受託者はThe Bank of New York Mellon の部門BNY Mellon Asset Servicing である。同信託のマーケティング・エージェントはState Street Global Markets, LLC, (SSGM)である。同信託の証券保管機関はHSBC Bank USA, N.A.(HSBC)である。
(楽天証券)
こちらは楽天証券のものを引用させてもらいましたが、よく分からない言葉だらけで、ちょっと難しいです。まあ、「金」の価格と連動するETFということを理解していれば良いと思います。
経費率・配当
経費率は0.40%となっています。株式のETFなどと比べると少し高いですが、そこまで気にする値ではないと思います。
また、配当はありません。金やその他のコモディティ投資をする際には、配当が出ないということは覚えておいてください。
GLDの推移
(Google)
どうでしょうか。設定年の時よりも上昇していて、約3倍ほどとなっています。また、値動きは安定していて、最高値近くまで上昇をしています。
今回のコロナショックの影響もあり、安全資産の金が買われたため、価格は上昇しています。
GLDは現在、160ドル(17,000円)くらいの値を付けています。「もう少し安く買いたい」と思う人は、「GLDM」というETFを買うのも良いと思います。経費率は「0.18%」と、GLDと比べても低コストです。しかも、楽天証券で買うと、買付手数料が無料になっています。
リターン
米国株の平均リターンは5~9%ほどと言われています。そして、安全資産の金はどうなのでしょうか。
- 5年 ➡ 6.69%
- 3年 ➡10.01%
- 3カ月➡8.93%
「え、めちゃくちゃいいじゃん。」
これにはびっくりしました。正直、株とあまり変わりません。それどころか、株より若干良いです。
コロナショック前の株高で、多くの人が金を買い、さらに暴落で買われたため、ここまでのリターンが出たと思います。
しかし、「 安全資産」と言われているのに、ここまでのリターンが出ると欲しくなりますよね。
比較
それでは、比較をしていきましょう!
今回は、金のETFである「GLD」と米国の大型株ETFである「VOO」を比較していきたいと思います。
まずは、下のグラフですが、①が「GLD」と「VOO」の3ヶ月、②が3年間を比較したものになっています。
①3ヶ月の比較
コロナショックの影響で株価は暴落しましたが、金は安定しているのが分かります。さすが、「安全資産」ですね。
②3年間の比較
ここ数年の株価は好調でしたが、金も同じく好調だったことが分かると思います。株も金も買われた数年でした。
メリット・デメリット
それでは、「GLD」のメリット・デメリットについて書いていきます。
メリット
-
安全資産である。
金は、世界共通で重要とされています。
そのため、戦争や感染病が起きた時には資金の避難先として多くの人が買う傾向にあります。
金の安心感は否めません。
-
インフレヘッジになる
程よいインフレが経済を成長させると言われています。
そのため、多くの国でインフレを起こそうとしています。その結果、お金の価値は減少するので、お金以外の資産を持っておくことが良いと思います。
また、株や不動産と同様、金もリスクヘッジになります。
-
金には限りがある
金がいつ採掘できなくなるのか分かりませんが、金の採掘が出来なくなった時には価値が上がるでしょう。
デメリット
-
利息や配当を生まない
私が保有しない理由はこれです。
金は株や債券、預金とは違い利息・配当を生みません。そのため、値上がり益しか得られないのです。
まとめ
今回は『【GLD】金のETF投資とは?メリット・デメリットについて。』を書いていきました。
金は、確かに良い商品です。リターンもここ数年だけだと、株式に劣っていません。
正直、「金は微妙」と思っていた人も気持ちが変わったのではないでしょうか。
一番のデメリットは、配当や利息が出ないことです。その代わり、希少性や世界共通資産といったメリットもあります。
今回の暴落で「安全資産」「守りの資産」「有事の金」と、言われる理由が分かりました。
暴落で恐怖を感じた人は、「株式だけ」ではなく、「株式と債券」「株式と債券と金」など、どのような資産配分をしていくのが良いのか考えてみて下さい。
【要約】『敗者のゲーム』の感想・まとめ
今回は、「時代を越え、投資家の中で読み継がれている名著」で、インデックス投資家のバイブルとも言える、『敗者のゲーム』について要約し、感想とまとめを書いていきます。
はじめに
敗者のゲームは、全米100万部の超ロングセラーで、多くの投資家に読み継がれていいます。そのため、投資家の運用哲学バイブルと言って良いでしょう。
なぜなら、投資の心構えをはじめ、人生終盤の運用、投資の終わり方、暴落時の対応などが書かれているからです。
なんと、この一冊を読むだけで投資の入り口から出口までを網羅出来てしまうのです。
本書の内容は三部で構成され、22章まであります。ページ数は全261ページとなっています。
「どんな本なのか。」と聞かれたら、表紙にも書いてあるように「市場に勝とうとすることは無意味である。」ということを教えてくれる本です。
また、本書は一貫して「インデックス投資をすることが最も簡単かつ結果が出る」「運用基本政策の確立・堅持をする」ということを言っています。
激しく変動するマーケットに右往左往する。当初立てた投資計画を無視して、高値で買って安値で売ってしまう、、、投資家ならこういった経験があるはずだ。
この先、ITバブルやリーマンショックに遭遇したら、どうすればよいのか?本書はそのための現実的な対応を教えてくれる。
投資で成功するというのは、難しい証券分析などの専門知識や経験を身につけることではなく、ましてや短期的に市場を出し抜こうとすることでもない。市場平均利回りを上回る(=市場に勝つ)ことがきわめて難しくなった今、最も簡単かつ結果が出る方法は、インデックス・ファンドを活用することである。
上記をまとめると、乱高下する株価に左右されずに、インデックス投資を続けなさい。ということを言っています。
初心者におすすめな理由
『敗者のゲーム』は読むべき、持っておくべき一冊だと思います。
投資技術的なことよりも、投資の基本となる心構えや過去から学べること、暴落が起きた時の対処法などを学ぶことが出来ます。
暴落の例として、2008年に起きたリーマンショックが書かれています。私を含め、投資初心者は株価大暴落や低迷期を経験していません。そのため、大暴落や低迷期に直面した時に考えることや行動が書かれているので、とても心強いです。
そして、市場の上昇・下落に振り回されずに自分の投資目的を達成するため、適切な運用基本方針を策定・堅持することが大切だと教えてくれます。
慎重に検討された投資政策を選択し、その政策を守り続けることこそ、投資で成功する最良の近道である。そのため、何か複雑な行動を取る必要はない。ただ、マーケットの上昇・下落に振り回されずにじたばたしないことである。
(218ページ)
なぜ、インデックス投資なのか
本書では、市場に勝とうとする「アクティブ・ファンド」よりも、市場平均を狙う「インデックス・ファンド」への投資を強く推しています。
それは、過去のデータが物語っているからです。
アクティブ・ファンドは年間成績で約6割、10年で7割、20年で8割のマネジャーが市場に負けていることが分かっています。
そのため、20年後の市場に勝っている2割を当てることが困難なので、アクティブ・ファンドよりもインデックス・ファンドへの投資が良いことになります。
市場に勝とうとする運用は、いつも法定速度より時速10キロ上回って運転するようなものだ。運転で求められるのは、道を間違えずに、ほどほどのスピードで運転し、決して大事故を起こさないことである。
(71ページ)
ここから先は要約となります。ネタバレ注意ですので、「見たい!」と思った人は、自分の目で確かめてみて下さい。
『敗者のゲーム』 要約
第1部
ここからは、私が敗者のゲームを読み、心に残り大切だと思ったことを書いていきます。第1部では、「資産運用をしていくうえで押さえておくこと」について書かれています。
『敗者のゲーム』と『勝者のゲーム』の違い
第1章で、いきなり本書のテーマでもある「敗者のゲーム」について書かれています。
『昔は「勝者のゲーム」であったが、時代とともに「敗者のゲーム」に変わった。』と、著者は言っています。
では、著者の言う「敗者のゲーム」と「勝者のゲーム」の本質的な違いとは何なのでしょうか。
本書では、いくつかの例が挙げられています。その中で、プロとアマチュアのテニスの試合が例に挙げられています。
どちらのゲームも同じ道具、服装、ルールで変わりはありません。しかし、以下のように試合内容は変わってきます。
- プロ(勝者のゲーム)
プロは長いラリーの末、敵の手の届かないところへ強力で正確なショットを放ち勝利をつかみます。そして、めったにミスを犯すことがありません。
- アマチュア(敗者のゲーム)
一方、アマチュアはネットにかかったり、ラインから出たりと、相手のミスで得点につながることが多々あります。
このように、2つのゲームは正反対なのです。とすれば、私たちはとにかくミスの少ない、確実な投資を目指すべきなのです。上記で言うと、「敗者のゲーム」です。
そして、私たちが勝つ方法として、著者が以下のようなことを結論として言っています。
長期投資の明確な目標設定に集中し、その目的を実現するために合理的かつ現実的な投資政策を選択したうえで、その政策を、自己規律を持って、忍耐強く、しっかり貫いていくことである。
(27ページ)
第2部
第1部では、資産運用をするうえで押さえておくべきことを学びました。そして、第2部ではその運用を理論的に見ていきます。
長期投資の魅力
長期投資の魅力は何と言っても「複利」です。長期になればなるほど、投資商品の魅力は高まります。一年間ではハイリスクだった商品が「複利」によって、ローリスクに様変わりしてしまうこともあります。その例が株式投資です。
次の画像をご覧ください。
(83ページ)
これは、インフレ調整後の株式、債券、キャッシュの収益率変動幅をグラフにしたものです。横軸が年数、縦軸がリターン率を表しています。
株式の1年目の場合、最高リターンは53.4%のプラスとなり、最悪では37.4%のマイナスとなっています。
「投資はリスクがある。」と、多くの人が言う理由が分かります。しかし、年数が経てば経つほど「投資はリスク」という常識が覆ります。
もう一度、先ほどの画像をご覧ください。驚くことに投資期間が長くなるほど、株式のプラスとマイナスが減り、収益率変動幅が小さくなっています。
そして、収益率は平均6%ほどのプラスになっています。
このデータでいけば、20年以上株式を保有しておけば損はしないということになります。 1年目がハイリスク(-40%)・ハイリターン(+50%)であったのに対し、長期投資をすればノーリスクで6%ほどの利益を得ることが出来るのです。
これが長期投資の魅力の一つです。
「時間」は運用というものを、良くも悪くもまったく様変わりさせるものである。―(略)―十分な時間が与えられれば、一見、魅力的に思えない運用も大変有効なものになる。
(80ページ)
第3部
最後の部では、著者が私たち個人投資家に多くの助言をしてくれます。その中で、「個人投資のための十戒」として以下のようなことを言っています。
個人投資家のための十戒
①貯蓄すること。
- 固定費(通信費や保険料など)を見直しましょう。
- 毎月いくらかを先取り貯蓄(財形貯蓄など)しましょう。
- 貯蓄したものを将来の幸せや安定、三大支出に備えて投資をするようにしましょう。
②相場の先行きに賭けてはいけない。
- 相場を見ながら売買するということは、プロを相手にしていることを自覚してください。もし勝てたとしても、ギャンブルと同じように、次も勝てるとは限らないです。
- そうなると、インデックス投資を長期にわたり積み立てていくことが最適ではないでしょうか。
③税務上有利という理由で動いてはいけない。
- 魅力がないのに、「節税になるから」という理由だけで商品を買ってはいけません。
- 「NISA」や「iDeCo」でも、自分のリスク許容度、商品の質を理解したうえで買うようにしましょう。
- 保険も節税になるからと言って、必要でもないのに入るのはダメです。
④自分の住宅を投資資産と考えてはいけない。
- 著者は「住宅は家族と生活する場所で、それ以上のところではない。」と、言っています。
- 大体の地域で、家を買った瞬間から価値は減少していきます。投資資産とはなりません。しかし、家族の幸福のための投資としては意味があります。
⑤商品取引は考えものである。
- 著者は「コモディティ取引は、投機にすぎない。」 と言っています。また、経済的付加価値を生まないとも言っています。投資とは言えません。
⑥証券会社の担当者に気をつけなさい。
- 彼らは素晴らしい人たちだが、あなたを儲けさせるのではなく、あなたから儲けることが仕事です。
- ネット証券を開設することをオススメします。手数料も最低限の商品が多いので、低コストで良いパフォーマンスが出来るのではないでしょうか。
⑦いわゆる新金融商品に投資してはならない。
- この手の商品のほとんどが、投資家に保有されるためというよりも投資家に売るために設計されています。
- 他の投資家の話にも耳を傾けてはいけません。
⑧元本、利息が安全だとか、リスクが少ないという理由だけで、債券に投資してはいけない。
- 債券価格も株式ほどではないですが、変動します。
- 債券は、長期投資の真のリスクであるインフレに弱いです。
- しかし、債券を保有しておくと資産変動が緩やかになるので、「絶対にダメ!」というわけではありません。
⑨長期の投資目的と投資方針、資産計画を文書にして書き出し、それに沿って行動すること。
- 投資期間がどのくらいで、将来いくらぐらい必要で、月にいくらなら投資に回せるのかなど、計画を立てて投資をすることが大切です。 その時に、最低限を見積もって計画を立てると良いかもしれません。
- 当初の計画とはずれることがあると思います。年に1度くらいは計画の再確認、見直しをしてください。
⑩直感を信じて投資してはいけない。
- 「うまくいって有頂天の時は、大火傷が待っていると思った方が良い。」 と言っています。
- だれも相場の予想はできないので、変に売買することはオススメしません。ただただ、インデックス投資を行いましょう。
- そして、大暴落時や焦った時は何もしないこと。も大切です。
おわりに
最後に著者は、以下のようなことを述べています。
- 投資の世界において、優秀で勤勉なプロの数は今後増えることがあっても、減ることはない。投資が1960年代のような「勝者のゲーム」になることはまずないだろう。
- マーケットに占める機関投資家のシェアも拡大することはあっても縮小することはない。投資は危険なゲームであり続けるだろう。
- やがてそのうち、1人の投資家を除いて、すべての投資家がインデックス・ファンドを使うようになるかもしれない。そうなったらその最後は大儲けするだろう。そうした事態になったら、ぜひ連絡してほしい。
(220ページ)
まとめ
今回は、チャールズ・エリス著の『敗者のゲーム』 について書いていきました。
本書は、これから投資をする人や初心者投資家が読むべき一冊だと思います。
激しく乱高下する株価にどうやって立ち向かえば良いのか、多くの人が思っていると思います。その答えは簡単で、インデックス・ファンドへの投資が最適です。
インデックス・ファンドは、面白くもおかしくもありませんが、とにかく結果が出ます。インデックス・ファンドは、長期的にほとんどのポートフォリオ・マネジャーを打ち負かしているというデータがあります。
市場に勝とうとして虚しい努力を続ける「勝者のゲーム」から、長期資産配分と運用基本の確立・堅持という「敗者のゲーム」をしていきましょう。
ぜひ、本書を手に取って見て下さい!ご覧いただきありがとうございました。